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-Nishijima side-
おれの頭はあれから女神様のことでいっぱいだった。
絵が上手だということ。
全く話したこともなく、ただ遠くから眺めていただけの彼女と
思いもよらない出来事をきっかけに関わり合えたこと。
話してわかった優しくて、安心できた声。
遠くからは分からなかった、華奢な体。
そして何より、一瞬にして心を奪われた美しい顔立ち。
……彼女のことを少しだけ知れた気がして嬉しかった。
部活中、ふと目に入った教室の窓。そこに見える人影。
……女神様だ。
見た瞬間、そう思った。
それからというもの、全く部活に集中することができなかった。
いつもは、どんなに悩みや不安があってもサッカーをすることで忘れられた。
サッカーだけに集中できた。
おれも人並みに恋愛だってしてきた。
だけど付き合っていくうちに、おれの顔が目的だったとか誰がおれと付き合えるかとか。
そんな風に遊ばれてばっかで、恋愛とか女の子とか俺のなかで苦手なものに変わっていた。
それからは、無難に過ごすようになった。自分からは女の子に関わることをやめ、なるべく話すこともやめた。
だからこんなにも女神様のことで頭がいっぱいになってるなんて、正直焦る。
部活が終わってからまた、教室の窓を見上げてみた。
さっきと変わらずそこにある影。
泣いてる…気がした。
なぜかわからないけど、泣いている気がした。
今すぐに駆けつけたい。そう思った。
西「日高わりぃ。おれちょっと用事思い出した。先帰ってて。」
そう日高に告げ、女神様のいる3階へと急いだ。
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