【心理描写で明と暗、はっきり描き分ける事でオチができる】

2/2
前へ
/122ページ
次へ
『ある作家は「作品に精神病者を出してはならない」と言った。 しかし、それは本格ミステリーの場合であって、変格ミステリーなどでは幻覚や妄想などの精神症状を巧みに使った描写法やトリックが奏功して名作が多数輩出されている。 多重人格を巧みに使ったトリッキーな作品、時に軽妙な変格ミステリーと言うのは良い。 更にライトな語り口であれば、読んでいる方も最初はみくびるが最後に足をすくわれる。 「人間不信になりそうなカワシ技」「一筋縄ではいかない」…優れた変格ミステリーを読んだ後にはそんな言葉が頭に浮かんで来るのである』 ↑↑ なるほど! ここでご紹介されている、ある作家さんが言った『作品に精神病者を出してはならない』と言う言葉… これは『本格ミステリーに精神病者を出すと「お話が何でも有り」になってしまい理路整然とした推理が成り立たなくなってしまう』と言う事ですよね! しかし!五丁目さんが言うように、多重人格などを扱った作品であっても、あっ!と驚く優れた変格ミステリーは、実にたくさん世に出ています。 以前、お話した『妄想オチ』や『夢オチ』の作品とも似た手法になりますが、例えば『あたかも複数の人間の会話や行動の様な描写を描いておいて、実は多重人格の一人の同一人物のお話だった』と言うオチや、 『多重人格だった為に自分が犯人という事を知らなかった』と言うオチ、などなど。 通常、心理描写と言うのは『明』から『暗』、『暗』から『明』へと『心の変化』を描く時、『明』から『暗』へ徐々に徐々に、グラデーションの様に段階を経て少しずつ変化して行くものです。 ネクラな性格のキャラが、いきなり次のページで超プラス思考になっていたら、普通は不自然に感じるものです。 しかし、そこをあえて逆手にとってみるのは、いかがでしょうか。 ある一人の人物を全く違う二つの性格で描き分ける事で読者は『性格が違う二人の人物』だと想像してしまうのです。 そして、ラストで『実は、多重人格の一人の人物のお話だった』というオチ。 実は、この手法は心理描写を描く上で大変勉強になります。 心理描写は、作品作りには欠かす事が出来ない大切な要素です。 皆さんも是非、チャレンジしてみて下さい! (まずは、普通の心理描写…徐々に段階を経て心の変化を描いておいて、そこに手を加えてみると言うのが良いと思います)
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加