第3章

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「今度来たらどのひとか教えて。どんなやつ?」  とにかく芹澤との出会いから今までの印象が乱高下したため、見た目の印象が薄れてしまった。かっこいいというよりは「何を考えているかわからない」というのが正直な印象だ。 「背が高くて脚長い。いつもなんかこうビシッと姿勢良く立ってる。ちょっと目つきが鋭くて一瞬怖く見える」 「なにそいつガ〇ダム? もうちょい具体的に」 「ん~、顔は無駄な肉がなくてこう、」  歩は両手をこめかみに当て斜め上に引っ張り上げる。 「こんな感じ。キツネ顔」 「おまえ、自分の目が垂れてるのコンプレックスだからって吊り目を馬鹿にしてんのか」 「してないよ?」  同じく吊り目グループの滝川がわざとらしく顔をしかめた。  それに自分は垂れ目ではないと鏡を覗き込んだ。涙ぼくろが二つも並んでいるせいで垂れているように見えるだけだ。特に右の目なんて真っすぐ真横じゃないか。  キツネ、タヌキと言い合って滝川とじゃれ合う。こうして笑い話にできているのは芹澤の方から歩に謝罪してくれ、気持ちよくでき和解できたからだ。その点は心から芹澤に感謝している。
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