第3章

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「あ、サラリーマンの仕事も真剣にやってますからね! 心配しないてください」  とってつけたような歩の言い方に、芹澤が小さく笑った。 「あらためて御社の担当として一生懸命努めますのでよろしくお願い致します。ポールダンスの件は、ここだけの秘密で」  今度は歩の方から頭を下げる。 「こちらこそよろしくお願いします」  芹澤も頭を下げ表情を改めた。きっと彼は嘘はつかない。それは確信できる。 「また井上さんの踊りを見に行ってもいいですか? ご迷惑でなければ」  だめです、と拒否しても彼は潔く引き下がってくれる気がする。けれど、あれほど手放しでほめてもらえたのは正直嬉しかった。 「……毎週金曜日の夜に『basement』で踊ってます」  芹澤は嬉しそうに笑った。普段少し怖い印象のある男前はずるいなと思う。そのほんの少しの笑顔が歩の心をほどいた。
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