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駒姫の体温に触れることができない今、
そして駒姫を殺すという、自分の生きる目的を失った今でも、こうして生を続けているのだから人生とは不可思議でならない。
ただ、今後二度と関わらないという言葉と共に、政宗や伊賀の里から匿ってくれた義光の顔だけが忘れられない。
俺の生きる意味は何なのだろうか。
駒姫の生きた意味は何だったのだろうか。
きっとーーーそれを見つけるまで、俺は孤独の中でも生き続けなければならないのだろう。
「いや、孤独では無い」
俺は思い直し、口にした。
義光様が俺に生きるという選択肢を与えてくれたこと。
それだけで、俺は既に生きる意味を持っているのだ。
そして義光様や駒姫ともはや繋がりの途絶えた世であってもーーー
俺が彼らを愛している気持ちが続くであろうこの今生において、俺は決して孤独ではないのだ。
完
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