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「?!―――何だ、そこに誰かいるのか?!」
秀次が秀吉を討つ、と口にした直後。
秀次と政宗しかいない部屋の外から、複数の声が聞こえてきた。
「何者だ?!」
政宗は、驚き固まっている秀次に代わり、勢いよく戸を開けた。
するとそこには、複数人の男たちが立っており、口元には僅かに、不気味な笑みをたたえていた。
「関白様、聞きましたぞ…あなた様は今、秀吉様を討つと仰った」
「謀反の疑いは、疑いではなく確信となり申した」
「な、なんだお主らは…?
まさか、秀吉…いや秀吉様の家臣、か…?」
秀次は足を震わせ、じりじりと後退した。
「これは、秀吉様に報告せねばなりませんなあ…」
「いやっ…、違う、私は秀吉様に謀られたのだと…。
私は秀吉様に謀反する意思はーーー」
「ここにいる我ら全員、証人ですぞ。
あなた様は秀吉様を討つと仰った、これは秀吉様に報告せねばなりません」
「な…!」
事の成り行きを見ていた政宗だったが、ふと、男たちの中の一人と目が合った。
「おお、そこにおられるは伊達政宗殿」
「…白々しい。
私が今日ここへ呼ばれていることを、知っていたクチだろうに」
「あなた様も承認となってくれますね?」
「なんだと?」
「秀次様が今口にしたことを、あなた様もしかと聞いていたはず。
あなた様も秀吉様に証言してくれれば、もはや秀次様はーーー」
「たわけが!」
政宗は、吐き捨てるように叫んだ。
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