1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
切なくて
それからも僕らの関係に進展はなかった。
それよりか、僕が周りの目を気にしてか、遥を避けるようになった。
見たくなかった。見ればより話したくて、触れたくて、独占したくなった。
「僕以外を見ないでよ」
そう叫びたくなるぐらいに膨らんでしまった僕の恋心に胸は張り裂けそうで、パンパンに膨れた風船みたいだった。
割れてしまえば僕はどうなってしまうんだろう。
考えたことがなかった。何時も考えるのは幸せなこと。勇気をだして告白すれば、都合よく遥も僕の事がすき。そのまま僕ら二人はハッピーエンド。
そんな事しか僕の頭を過らない。いや、本当は他の事もたくさん考える、考えるからこそ告白できない。
だって、フラれちゃったらどうしよう。
また友達みたいに話せない、もしかしたら気持ち悪いって、嫌いだって頬を叩かれるかもしれない。
そう思うとどうしても足は重くなったし、口は接着剤でくっつけたみたいに固くなった。
喉も誰かに押さえられてるみたいに息がしづらくなって、目の前が暗くなった。
でもそうやって考えるたびに、目の前が暗くなるぐらいに、僕は遥の事が好きだった。
考えるたびに頭に、夢の中に出てきた。
優しく僕に笑う遥、笑いかけてくれる。暖かいその手で抱き締めてくれる。なんて都合のいい妄想なんだろう。
ただ現実の遥が言うのは「ばいばい、またあした」
「大好きだよ」なんて耳元で囁いてくれやしない。
それが分かれば僕はまた、布団に顔を埋め込むんだ。
最初のコメントを投稿しよう!