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ふるえた
雨が粉雪に変わりはじめた季節。
教室では冬休みに何をするかで大盛り上がりだった。
「遥は、どこかいくの?」
避けることにも疲れ、もうこの好きは僕の思い込みなんじゃないか、そうしよう。そう遠く思い始めていた僕は、平然と、今までと同じ友達として遥に話しかけることが出来ていた。
「うちは特に行かないかな。俺、寒いの苦手だし。」
あはは、と困ったような笑みを浮かべて遥は窓越しに黒い空を見つめた。まだ下校時間にもなっていないのに、もう暗くなった空はすっかり冬だと言うことを証明していて、なんだか僕は寂しいような気分になった。
「あの、さ。もし、よかったらなんだけど」
その寂しさを埋めるようにか、それとも今なら言えるような気がしたのか、いや、気がしたんだ。
「今度、遊びにいっていい?」
こんど、言葉が震えた。口の中が夏の暑い日みたいにとても乾いた。それでも僕は言えた。
断られたとしても僕は一歩前進したんだ。
きっと遥は僕を友達としてしかみていない。だから断られないだろうとは思う。だけど不安だった、心配だった。
友達なのに断られたらどうしよう、って。
友達だとすら思われてないんじゃないか、嫌われてるんじゃないかって心配だった。
それでも遥は、
「いいよ、」
って言ってくれたんだ。
とても嬉しくて、その日は遥と一緒に帰った。
「何して遊ぼっか、お菓子は何がいいかな」
白い息を吐きながら頬を高揚させて。
胸の高鳴りはきっとバレていない。
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