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年老いたライオンが一頭、木陰に立っている。百獣の王として君臨した姿はとうにない。 毛皮の光沢は失われ、特にたてがみは汚れたモップを想像させる。肋骨が浮き出し、皮だけになった後ろ足には大きな傷がついている。  ライオンが口を開ける。咆哮しようとしたのだろうか? 牙は抜け落ち、痩せた歯肉が画面にクローズアップされる。  ゆっくりと脚を折り、地面に倒れる。 「10年近くに渡って群れを率いた王の最期です。大自然の掟は、サバンナ最強を誇った動物にも平等に訪れます」
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