03) 視える者狩り

22/22
543人が本棚に入れています
本棚に追加
/342ページ
「捨てられる、とは即ち抹消されるということなの」 和香さんが憎々しげに言う。 「奴にとり『駒』は一石二鳥なのだよ」 ん……? 「大岩は『視える』者を目として集め、『使い』『消す』……全てを手中に収めるために」 目……とは見えない部分を補うことなのだろうか? 手中に収めるとは、何をだろう? だが、ここでハッと気付く。 検事総長という立場なら、『視える』人たちが誰かも知ることができる? あっ! ――だったら、響さんたちも危険に(さら)されている? それはダメだ! 響さんが……いや、そんなことは考えたくない! おのれ、大岩武志! メラメラと怒りが湧いてきた。 全く、何て人だ! ――いや、人じゃない! 彼こそが悪霊……悪魔だ! 「響さん!」と力強い私の呼び掛けに、彼は驚いたように「ハイ!」と返事をする。 「大丈夫です! 私が響さんを守ります! 私、次の回から嘉月君たちと一緒にお稽古に参ります! あっ、だからその日はお休み頂きます!」 握り拳を目の前に作り、闘志を燃やす私に「はい?」と響さん、板前さん、和香さんはハテナマークを浮かべ、顔を見合わせるが、私の意識は既に花咲館空手道場に飛んでいた。
/342ページ

最初のコメントを投稿しよう!