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「こうなりゃ、台本書き換えて俺たちだけでやるしかない!」
言い出しっぺの部長が一番ダメージを受けていた。
「ふふ…女子がいなくても出来る転生系の萌えドラマを作るぜ!」
大学ノートに急いで設定の走り書きを始め…新プロットを立ててシナリオを修正していく。
そのおぞましい執念はもはや人に非ずであった。
人に受け入れられる作品作りは絶対無理だ…かなり目が据わっている。
(だから、音声ドラマじゃ駄目だって!)
疲れ果てた部員らはもはや反論しなかった。
てか、クリエイターの性だな。
どうしても、自作品に愛着を抱く悪い執着の呪い。
ネタはともかく、本気だったんだろうな。
部長は徹夜で台本を書き換え…ドラマの吹き替え音声は男子部員のみで収録された。
ちなみに、効果音などの音響は自作だったらしい。
猫の魔神の中の人のため、近所の野良猫を捕まえて猫の鳴き声をテイク15まで録り直したのはもはや部長にあてられた執念だったが。
そして、文化祭当日。
衝撃のドラマはイメージイラストの掲載とともに、アニ研の部室を彩った。
まず、転生前のヒロインのセリフはカット。
「かもめ、一緒に寺でお祈りしようか。」
鹿取君役は部長である。
カサカサと衣服が擦れる音がヒロイン役の代わり。
健気で内気な少女のイメージらしい。
カッシャアアン!
だが、参拝デートのあと魔神がかもめを凍りつかせるシーンは悲鳴も出さずガラスが割れる音で表現する。
「…ミギャアアアッ!」
魔神役の猫の鳴き声が何だか殺気立ってる。
一体、どんな方法で猫にあんな鳴き声を出させたのか考えたくない。
収録前から問題ありまくりだったが…完成品も突っ込みどころが多すぎる。
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