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ごちゃごちゃしたさらに奥から救急箱を取り出し、ぼくの指に絆創膏を巻いた。
「主任、やつらは何もやっていませんでした」
あいつを追いかけていた店員が、ぼくの手当てをしてくれた人にそう言った。
「どうやら、この子にそれをさせようとしていたみたいね。
未遂で終わったけれど」
ぼくは思わずうつむいた。
「主任、モニターの確認お願いします。DカメラとKカメラです」
脇の小部屋に、複数の店内のカメラ画像があった。その画像が巻き戻され、ぼくが雑誌を撒き散らし、入口にいたあいつとその仲間が一斉に外に出る様が写し出された。
「ああ、Dの方はやられたようね。ビデオに顔が写っていないか確認を。
Kの方は、まだ棚前にいるから声かけを」
店員がそれぞれの指示に従って動いた。
ぼくは自分自身が情けなくにり、思わず涙をこぼした。
「さあ、これで涙をふきなさい。もう、こんなことしてはいけませんよ」
ぼくは涙をふきながら、こくんとうなずいたけれど、あいつはどうせまた……と思うと、辛くなる。
「……あなた、こんなことをさせられる状況から逃れたい?」
ぼくの心を完全に見透かされている。だけど、その言葉通りだったからうなずいた。
「では、わたしの腕輪擦って」
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