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気怠い雨の日。
今は一時間目の世界史の授業中。
ここは、女子高。聖亞(せいあ)女学院。
右を見ても、左を見ても、女の子だらけだ。
私――野原夢生(むう)、高校1年生――は、肩肘をつきながら板書されたものを、物憂くノートに書き連ねていた。
世界史は、若い男の先生だった。
新城達哉、通称“たっちゃん”は聖亞の中でも注目されている存在だった。
若い男の先生なんて、私たち女子高生にとっては興味深深。
だって、男の人との接触なんて、学校の先生か実家の父親や兄弟としかない、限られた人間関係なんだもん。
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