ポップコーンラブ

　奥まで腰を突き入れられて、堪えていた声が押し出される。先ほどまで指で繰り返し確かめられた場所を狙って抉られ、時折小刻みに揺らされるのがたまらない。
　彼の大きな手が、僕の屹立の先走りを絞り出すように扱く。輪を作った長い指は、根元から先端へ向けて往復し、堪え切れない体液を絞り出す。それを手に掬い、陰嚢の裏まで音を立てて塗り込める。切なく漲った部分が達したがったけれど、既に彼の口で一度解放させられていたため、容易には登りつめられない。
　片手は僕の幹をしっかりと握り、反対の手で亀頭の先端に爪先を軽く押し込む。ふちを撫でまわすように刺激され、反射的に腰を引きたくなった。しかし、前後から固定された状態ではどこへも逃げられず、無抵抗で責苦を受ける。拘束された手で彼の手の甲を押すのが精一杯で、その強すぎる刺激を払うことが出来ない。細いチョーカーの紐は、無理をすればすぐに引きちぎれてしまいそうで怖かった。
　その間にも、僕の先端からは目で分かるほどふつふつと先走りが溢れ、彼の手を濡らす。気持ちいいのか痛いのかよく分からない。
「あ、あ、だめ……お願いっ、いやぁ、んぁっんんんっ」
　全身を震わせて懇願すると、やっと手を止めてくれる。労わるように袋ごと陰茎を撫でまわされ、僕の体液で濡れた手で優しく扱かれる。
「すごく感じてたね」
　弾む息の合間に口づけを交わす。荒い舌遣いに、彼も僕と同じくらい興奮しているのが分かった。
「……苦しいよ。休ませて」
「だめ。俺がもう少しなんだ」
　絡んだ視線に熱を感じる。長いストロークが徐々に短くなり、野性的な動きに揉まれる。振動で、僕の反り返った股間もぶるぶる揺れた。
「うっ、あ……あ、ふかい……」
　彼の背中に足を絡め、結えられた腕の間に彼の頭を挟んだ。盛り上がった情動が、彼を導くように僕の中を動かす。締め付け、奥へ誘い込むように蠢く。そしてまた、僕の中の彼の形を探りながら締め付ける。
　荒い息と一緒に唇を合わせ、互いに放つ。ゴールドブラウンの頭が僕の首筋に押し付けられる。苦しいくらいに抱き締められ、僕も強く抱き返した。上がり切った息が落ち着くまで、ずっと二人でそうしていた。
　僕の身体の記憶は、全て彼に甘く書き換えられた。

　うなされることも、浅い眠りに苛立つこともなく、気付けば朝だった。あっという間の時間の経過に驚く。