3人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
プロローグ
桜咲き誇る四月、僕はこの朔嵐高校に入学した。
やはり男子校、周りはむさい野郎どもばっかりだ。
僕は颯爽と校門をくぐり、一直線に校舎へと進んでいく。
なんだか無数の視線を向けられ、ヒソヒソと話し声が聞こえてくるが、今に始まったことでもないので、いちいち気にしない。
一階の一年生フロアに向かい、僕が入るBクラスを見つけ教室の扉を開けた。
その瞬間、僕の目は窓側に立ち、外を眺めていた一人の男に釘付けになってしまった。
周りの生徒より頭一つ分くらい高いほどの、スラリとした長身のスタイルに、太陽に照らされたオレンジを思わせる様な張りがある褐色の肌。少し窪みがちな円らな瞳。
太めで短く、眉尻が下がり気味の眉毛。よく目立つ大きめの耳。そして、黒というより焦げ茶に近い、ふわふわと柔らかそうな髪。
あぁ、なんてパーフェクトな容姿! 子供の頃大好きでよく見ていた、母親の国の子供の向け番組に出てくる、あのマスコットを彷彿とさせるファニーフェイス。そして、コメディからシリアスまで熟す、大ファンのあのクールな俳優の生き写しの様なスタイル。
最初のコメントを投稿しよう!