2人が本棚に入れています
本棚に追加
こちらがBの肖像になりますが…お疲れではありませんか?
椅子を、ご用意致しましたので、どうぞお掛け下さい。
え?
Bの肖像も、Aの肖像のように長い物語なのか、でございますか?
大丈夫でございます。
“錠”が掛かっていない肖像画の大半は、“物語”ではなく、“エピソード”が数点、といった内容となっておりますので…。
えぇ、大半は、でございます。
私も、Aの肖像の折に、椅子をご用意すれば良かったですね。
ふふ…。
次の来訪者があれば、Aの肖像から椅子をご用意致しましょう。
さて、Bの肖像です。
ほら、Aの肖像とは違い、ちゃんとした絵画でございましょう?
つまり、こちらの肖像画の人物は、とある御仁の“リアル”に関わりを持つ方となります。
4~50代に見えますか?
どこにでも居そうな女性ですね。
勿論、幸せそうに見える笑みで描かれています…が。
あなた様にもそう見えますか?
絵画でくらい、どんな方も幸せな“善人”に見えるように、というとある御仁の配慮。
もし、あなた様が、この女性がそう見えたなら…とある御仁の配慮は功を成している、という事になりますね。
描き手、冥利に尽きる、ですね。
私ですか?
あぁ…。
私には、もうそのようには見えません。
何せ、私はこの方の“物語”も存じ上げておりますし。
どう見えているのか、ですか?
ふふ…。
私には、とても胡散臭い笑みに見えています。
私の方が胡散臭いですか?
ふふ…。
手厳しいですねぇ。
ですが、私が語るのは肖像画の“物語”…。
Bの肖像の人物が語るのは“道徳”…。
どんなに道徳に欠けていても、道徳を語る人物の笑みは、私には“胡散臭い”以外の何ものにも見えないのです。
では、はじめましょう。
Bの肖像の、物語を…。
最初のコメントを投稿しよう!