Bの肖像【第一印象は大事でしょう?】

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こちらがBの肖像になりますが…お疲れではありませんか? 椅子を、ご用意致しましたので、どうぞお掛け下さい。 え? Bの肖像も、Aの肖像のように長い物語なのか、でございますか? 大丈夫でございます。 “錠”が掛かっていない肖像画の大半は、“物語”ではなく、“エピソード”が数点、といった内容となっておりますので…。 えぇ、大半は、でございます。 私も、Aの肖像の折に、椅子をご用意すれば良かったですね。 ふふ…。 次の来訪者があれば、Aの肖像から椅子をご用意致しましょう。 さて、Bの肖像です。 ほら、Aの肖像とは違い、ちゃんとした絵画でございましょう? つまり、こちらの肖像画の人物は、とある御仁の“リアル”に関わりを持つ方となります。 4~50代に見えますか? どこにでも居そうな女性ですね。 勿論、幸せそうに見える笑みで描かれています…が。 あなた様にもそう見えますか? 絵画でくらい、どんな方も幸せな“善人”に見えるように、というとある御仁の配慮。 もし、あなた様が、この女性がそう見えたなら…とある御仁の配慮は功を成している、という事になりますね。 描き手、冥利に尽きる、ですね。 私ですか? あぁ…。 私には、もうそのようには見えません。 何せ、私はこの方の“物語”も存じ上げておりますし。 どう見えているのか、ですか? ふふ…。 私には、とても胡散臭い笑みに見えています。 私の方が胡散臭いですか? ふふ…。 手厳しいですねぇ。 ですが、私が語るのは肖像画の“物語”…。 Bの肖像の人物が語るのは“道徳”…。 どんなに道徳に欠けていても、道徳を語る人物の笑みは、私には“胡散臭い”以外の何ものにも見えないのです。 では、はじめましょう。 Bの肖像の、物語を…。
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