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 なんだ?  生け垣の下、緋色の絨毯を敷き詰めたような花びらに紛れ、ひらひらした白いものが見えたと思ったら、それは突然目の前から消えた。  ドレス、に見えたような・・・・・・?  隆彰は生け垣の反対側に回り込んだ。踏んだ小枝が、足元でパシッと音をたてた。  隆彰の存在に気がついたように、その塊はびくっとした。すこしでも隆彰の視線から隠れるように、そうしていればきっと見つからないと信じているかのように、背を向け縮こまるが、その姿はちっとも隠せていない。 「おい」  隆彰が話しかけると、やがて怯えたようにおそるおそる振り向いたそれは、明らかに女には見えない、けれど女物のドレスを身につけた、彼よりもいくつか年上の若い少年だった。  少年は驚いたように目を瞠ると、慌ててぱっと目をそらした。 「・・・・・・いくらなんでもこの時期、その格好じゃ風邪ひくんじゃねえの?」  さっき見えた白いものは、ドレスの裾だった。薄布一枚の格好は見るからに寒そうで、少年は小さく震えている。  それにしても、少年の格好は明らかに不自然だった。あまりよくは知らないが、これが巷で言う女装趣味というものだろうか。けれど、残念なことにその格好はちっとも似合っていない。 「・・・・・・人の趣味をどうこう言えねえけど、あらたまったパーティーにその格好はいくらなんでも非常識なんじゃねえの?」 「違うっ!」  思いがけず、少年が勢いよく反論してきたので、隆彰はびくっとした。 「ぼくだって、なにも好きでこんな格好をしてるんじゃない・・・・・・」
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