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 何気なく言った言葉に優一は激しく動揺した。いや、とか、でもそれは・・・・・・などと呟きながら、明らかに挙動不審な態度でウロウロと視線をさまよわせる。隆彰は目を細めた。問答無用で、必死に隠そうとする優一の手から財布を取り上げる。 「これ・・・・・・。なんで・・・・・・」  中身を確認したあと、思わず絶句した隆彰に、優一は俯いた。それは小さな紙片だった。いったん破いたのを、テープで丁寧に補修してある。そして紙片には、いかにも気が進まないといった感じで、不機嫌そうに写っている隆彰の顔があった。 「・・・・・・中学のときの校内新聞の記事か?」  優一は真っ青な顔で沈黙した。その視線は決して隆彰を見ようとはしない。 「え・・・・・・、なんで? 初めて会ったのって、梓真の賭けのときだよな? え? ひょっとして、前から俺のこと知ってたの?」  決して責めているわけではなかったが、混乱した隆彰は優一の変化には気づかなかった。 「・・・・・・違う」  やがて、聞こえないほどに小さな声でぽつりと返ってきた言葉に、隆彰は心底びっくりした。 「え! マジで!? いつ?」 「・・・・・・祖父の会社の、創立50周年祝賀パーティーで」  結城家の50周年祝賀パーティー? 隆彰は、はっとした。あれか! 隆彰がまだ小学生のときに、無理矢理両親に連れて行かれたパーティーだった。って、あれ50周年だったのか。・・・・・・えっ! 「あの女装・・・・・・!」
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