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「なあ、おい待てよ! そこの・・・・・・メガネ!」
男は隆彰の言葉に足を止めると、きょろきょろとあたりを見回した。呼び止められたのが自分かと訝しむように、おそるおそる振り返ったその目が隆彰の姿を捉えて、驚いたように見開かれる。
その表情に、隆彰はわずかに違和感を覚えた。一瞬、知り合いか? と思うが、すぐに気のせいかと思い直す。
人混みの多さは狂気じみていた。どこからこんなに人が沸いてくるのかと、自分のことは棚に上げて、隆彰はうんざりした。
「・・・・・・あの、なにか?」
メガネの男は気弱そうな視線を、おどおどと隆彰に向けた。
・・・・・・ああ、くそ。どう見ても男だ。
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