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「はい、はい、すみません……あ、あの、今日学校が終わったら、直接届けにいきますので…!
は、はい、5時までですね。…え?印刷所を待たせるのもギリギリ…?は、はい!わかってます!
本当にすみません、すみません、すみません!」
相手に見えないとわかってはいるけれど、わたしはスマホ片手にペコペコ頭をさげる。
そして通話を切ると、机に散らばった原稿をあわててまとめて封筒にいれて、さらにそれを手さげにしまった。
「……ふう。
あとはホワイトと軽い修正だけ。また保健室でやらせてもらおう」
時計を見ると、もう学校に遅刻するギリギリ。
わたしは軽く手グシで髪を整えてから、部屋を飛び出した。
「いってきまーす。帰りにロマン社によるから、ちょっと遅くなるー」
「あ、ひまり!朝ごはんは?」
「いらない。時間ないもん」
「だめよ。あなた、昨日の夕ごはんもちゃんと食べてないでしょ。それに徹夜したみたいだし…。せめて、朝はしっかり食べなさい」
キッチンから出てきたお母さんがわたしにサンドイッチを押し付ける。
野菜とハムと卵の入ったサンドイッチ。
昨日からろくな食べ物をいれていないわたしのお腹が、ぐぅーっと鳴った。
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