女子高生マンガ家

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家から学校までは徒歩で10分弱。 とにかく通学が楽なことを基準に高校を選んだので、結構近い。 私は何度もあくびしながら通学路を歩く。 ほどなく同じ制服を着ている生徒の集団がいくつも見えてきた。 (……今日は、見れるかな) 学校へ向かいながらキョロキョロ辺りを見回す。 女の子同士のグループ。カップルと思われる男女。おしゃべりに盛り上がる男子のグループ。 (………あ、いた) その中でも一際目を引く、華やかな集団を見つけた。 制服を着くずし、その優れたスタイルを強調する女子生徒が数人。 もちろんみんなとても美人だ。 そこには私もよく知る人物の姿もあったが、今はそれは問題じゃない。 私の目線は、その女子生徒の中心にいる人へ。 優しく笑い、女子たちの話に答える男子生徒。 美人に囲まれてなお、見劣りしない抜群の顔立ち。 サラサラした茶色い髪に、スラッとした長身、端整な顔。 みんなが振り返る、圧倒的な存在感。 (……七崎(ななさき)先輩…!) 七崎扉(ななさきとびら)。 うちの高校の3年生。 そしてきっと一二を争う有名人だ。
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