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土曜日、病院入口の横にある守衛さんに声をかけて、理世は病理部の鍵を受け取った。
月に一度程度の頻度で回ってくる、休日出勤の日。
病理部はその性質的に夜勤は無いし、報告も休日には出さない。だけど、放置できない検体が提出されてくる事が稀にあるので、休日は午前中だけ出勤することになっているのだ。
薄暗い病院の廊下を歩いて、理世は足を止めた。病理部の前に、立っている人影が見えたから。
「あ、理世さーん。おはようございまーす」
「鉄平? 何してるの?」
「来たら開いてなかったので。理世さんと二人っきりなんて、来ないわけないじゃないですか」
臆面もなくそう言って、鉄平は笑う。
「二人っきりだなんて言ってないでしょ。少なくとも山本先生は来るよ。当番だから」
休日当番は、技師だけじゃない。もちろん、医師も当番制だ。
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