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鉄平の手に軽く引き寄せられて、理世のこめかみに、鉄平の吐息が触れる。初夏の暑さに汗ばんだ肌は、一度触れ合ってしまえばしっとりと吸い付くように感じられた。まるで、離れるのを拒むように。
この暑さの中で密着するのは、ともすれば暑苦しいと感じそうなものなのに、鉄平の肌の熱は、理世には心地よかった。
鉄平の手が、潮風で乱れた理世の髪を整えるように撫でる。唇にかかった髪も、ゆっくりとその長い指でどけられた。
今顔を上げたら、きっと唇が触れ合う。
理世は、頬を撫でる鉄平の指先に誘われるまま、ゆっくりと顔を上げた。
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