君がくれた愛

大きな傘

俺は、雨が嫌いだ―――――。
だけど、あいつは違った…。

＊＊＊

玄関に立って、靴箱の扉に張られている鏡で、身だしなみをチェックする。
外は、曇天。
天気予報は曇りのち雨。
傘立てに刺さっている二つの傘の柄を見つめ、手を伸ばした。
一つは、黒のシンプル傘。もう一つは、一人では大きすぎる傘。

鍵を閉め、曇天の空を眺めながら、職場に向かった。

＊＊＊

世間体を気にする親に、自分のセクシャルな部分のカミングアウトをした時の表情は、今でも忘れられない。
あれから、十数年。

３０も目前にして、２つ年下の恋人ができた。