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はじめて声をかけた時には、気が付かなかったけど、何回目か声をかけた時に、匠もゲイなんだって知った。
匠の口からはっきりと聞いたわけじゃないけど……。
「好きな人とかいないの?」
「いません。」
「付き合ってる人は?」
「いません。」
「恋人は?」
「……。」
必要最低限の返事しかしない匠。
この時はものすごーく俺に壁を作っていた。
ある日の事。
いつものように、時間ピッタリに店に来た匠。
店内をうろうろしている姿をずっと目で追いながら、時折話し掛けられるお客さんと話をしていると、観葉植物を置いてあるコーナーで足を止めている匠の姿を見つけ、声をかけた。
「いらっしゃい。今日は、観葉植物を眺めてくの?」
「家に置きたいなって、思って……。」
「それだったら、サボテンなんていいんじゃない?世話も楽だし」
「そう、ですね。」
「あ、誰かにプレゼントするの?」
「そんな相手、いません。」
「あははそうでしたっ。」
「……純さんは、恋人や好きな人……いるんですか?」
小さなサボテンの鉢を抱え、視線はそっちに向けたまま突然話をふられた。
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