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湯を吸ったズボンは重みを増して、ずるずるとネロの細い脚から落ちていった。ルカの手が下着も脱がす。腰や太腿、尻、時折胸にまで手を這わされるネロに抵抗の力はなかった。下半身を露わにさせられた濡れた黒猫は、泣きそうな目でルカを振り返る。
「お願い……もう……」
懇願は、しかし男をぞくぞくと刺激する。
ルカは振り返ったネロの顎を捕らえると、勢いのままにキスをした。触れ合う唇に、ネロは「んっ」と鼻から抜けるような色っぽい声を出した。男を誘う、無意識の内の声だった。
シャワーはどんどんネロの身体を濡らす。ルカはボディソープを手の平に出して、そのままネロの背中を洗い出した。服の下で滑らかに肌を撫でられ、時に摘ままれ、敏感なネロはひっきりなしに出る声を抑えられなかった。背中の次は、尻、脚、と手は止まらない。流れ続ける湯はネロの服を肌に張り付ける。
「ぁ、はぁ、は……、ん、ル、ルカ……」
「ん?」
「服……、きもちわるい、から……、脱がせて……」
そこかしこからの不快感に耐えられず、また懇願する。何一つ思い通りにならない空間だと分かってはいたが、熱気の充満と全身を撫でまわされていると言う屈辱で、ネロはもう朦朧としていた。
ルカは、心底楽しそうに口元を緩ませる。
「可愛いおねだりだな? なんて手懐け甲斐のある奴だ」
そう言いつつネロの首筋に唇で触れ、望み通りに服を脱がせてやった。
纏わりつくものがなくなった安堵で、ネロは細く息を吐く。男の前で一糸纏わぬ姿になったわけだが、それはもう諦めていた。肌を伝う湯はそれだけならば心地がいい。背の泡が、流れ落ちていく。
ルカはネロの腰を掴んだ。
そして、またぐるりと反転させる。
「っ、や、」
「お前の美しい顔が見れんのは損だからな」
ルカと正面から対峙させられ、顔も、前も見られる唐突な羞恥にネロは拘束された腕を引く。音が鳴るだけでどうにもならない。泡だらけの指はまず、味を占めている胸の頂に向かった。摘ままれ、擦られて、いっそう高い声が出る。
「ひぁっ、ぁん、やだ、やめ、っぁあ……!」
そこを親指で押し潰されながら、脇にも不埒な指は伸ばされるし、そのまま下を目指して腰のラインを丹念になぞられた。臍にまで指を突っ込まれ、ネロはもう息も絶え絶えだ。腰が抜けそうになって、ルカに支えられる。
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