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その一件のほとぼりが覚めたのは、結局中学に上がる直前だった。
家庭裁判所、保護観察処分、拘束される毎日、責め立てる社会と世論。子供一人の心根を腐乱させるには十分過ぎる期間だった。
ぴんぽーん
ぴんぽーん。
中学に上がり義務教育にほとほと嫌気が差した反抗期真っ只中、俺んちのインターホンは、ニ度ベルを鳴らした。
「キクぅー、サオリちゃん迎えに来てるわよー」
玄関から呼ぶ母親の声。
あいつはいつもそうだ。アポ無しで人んちに面倒を運んでくる。
頼んでもいないのに、最近毎朝迎えにきやがる。
「いちいち迎えに来るなよ」
「サオリが来なきゃ、キク学校行かないでしょ」
登校拒否歴は、断然俺より長い自分を、完全に棚上げして、毎朝毎朝鬱陶しい。これで悪気なんてさらさらないのだから余計にタチが悪い。
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