キク十三歳夏

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 トモヤとは、このころからの付き合いで、彼は俺に様々な新しい生き方を教えてくれた。  トモヤと俺は一限目をふけて、体育館の裏で煙草を吸う。母親からくすねたマイルドセブン(メビウス)は、ちっともマイルドではなく、その喉にくる刺激が、鋭く尖って咽せそうになる。森本北小出身のトモヤは、相変わらず煙草を吸って咽せそうになる俺を笑う。  彼は俺に煙草の吸い方、バイクの盗み方、女の抱き方、その他全てを教えてくれた。 「三年の広田くんが怒ってたぜ。キク金集めてないっしょ」  俺とトモヤ他数人は、他の一年男子から金を半強制的に集金をして、三年の幅利かした連中に上納しなくてはならない理不尽で不愉快なルール。 「面倒臭いよ。俺たちは自由なんだ」  自分が吸った煙草の煙りは、雲一無い晴れ渡った空の真下で溶けた。  飛行する鳥たちが、自由に見えてなんだか羨ましかった。
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