キク十歳

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 俺は小学生のころよく、近所のコウちゃんって子と遊んでいた。コウちゃんは器用で、アニメの絵を書くのがとても上手かった。  コウちゃんは同い歳なのに兄貴分で、俺は彼のことをコウちゃん。コウちゃんは俺のことをキクと呼ぶ。  コウちゃんちの敷地は広くて、母屋とは別にある離れで俺たちは、毎日アニメの絵を書く練習をしていた。  集まるのはクラスで他に行き場のない二軍三軍の連中たち。親があまり干渉しない離れは、かっこうの遊び場だった。  本当はアニメの絵に興味などなかった俺だが、他の連中同様、他に居場所などないのだ。
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