キク十歳

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 コウちゃんは器用で俺は不器用。結局こんな負け組の寄せ集めの中でも、俺は劣等感を味あわなければならないのが癪に触る。  好きでもないアニメの絵を、好きなだけ乱暴に描きなぐって帰るのは夕方過ぎ。習い事の一つもしていない俺は、仕事で遅い母親が買い置きしておいてくれた惣菜を電子レンジで温める。  テレビを付けナイター中継にチャンネルを回す。俺はアンチ巨人で中日ファンな母親の影響で野球中継が好きだった。  レンジで一分三十秒の温もりとナイター中継が、一人ぼっちな夕食をいつも暖かな物に変えてくれる。
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