キク十五歳冬

3/18
前へ
/71ページ
次へ
 こういう絶妙に最悪なタイミングで、俺んちのインターホンは二度ベルを鳴らした。 ぴんぽーん ぴんぽーん。  誰も応答しないと、鍵の掛かっていない玄関を無断で開ける不法侵入者が一人。間違いなくサオリである。  あいつはいつもそうだ。アポなしで人んちに面倒を運んでくる。軽快でリズミカルな足音が止み、ノックの一つもしないサオリが襖を開けた時、村上はショーツもブラもまだろくに着用しきれていない。 「あっ、ちづちゃん……ごめっ」  村上はサオリが言い終わるのを待たなかった。 「もう、あんたたち何なの。どういう関係? 信じられない。信じられないよ」  服を素早く着て、乱れた身なりのまま、俺の部屋を飛びだす村上。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加