キク十五歳冬

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 トモヤは俺たちから逃げるように学校に来なくなり、俺たちも学校にはいかなくなった次の週末、俺んちのインターホンは二度ベルを鳴らした。 ぴんぽーん。 ぴんぽーん。  その時俺は、トモヤの居場所が割れたと連絡を受けて、身支度をしていた。筋肉痛でバキバキの体に鞭打ってツナギに袖を通し、俺は玄関の扉を開ける。村上である。 「なんで学校来ないの? 今がどういう時期か解ってるの?」 「どいてくれよ。今から大事な用があるんだ」  俺は村上を軽く突き飛ばす。気が立っていた。村上がいることなんて、お構い無しにブーツを履く俺は、ティンバーランドの紐を固く固く結ぶ。そして鍵も掛けずに部屋を出る。 「いくなーーーー! バカーー! そっち側に行くなー」  村上は俺の背中で、わんわんと大声上げて泣き喚いた。村上の慟哭に気づかないふりをする俺は、セルモーターでエンジンを掛ける。  ごめんな。もうダメなんだ。どうしようもないんだ。
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