キク十五歳冬

18/18
前へ
/71ページ
次へ
 言っちゃ悪いが俺も中々どうして、他校に知れ渡るほどには、喧嘩慣れをしている。だからこそ解るのだ。今の追撃も含めた二撃は、トモヤが完全に俺を仕留めにきたことを。 「キク。どうしてもこうならなくちゃいけなかったのか?」 「ああ、こうなっちゃ仕方がない。今日まで楽しかったぜ相棒」 「そっか」 「ばいばいトモヤ」  トモヤは再び俺目掛けて走り込んでくる。それと同時にまた今日もコールタールみたいな分厚い雲から、ミルク色の雪がはらはらとパラつき始めて、地面に溶けていく。  それは師走のことだった。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加