最終章

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 そこまで言って暫し郷田は躊躇い、しかし数秒だけ間を空けて、「ジャンキーだ」と続けた。 「そうかそうか。それで、ますます金を?」 「ありゃ金食い虫だからな。虚ろな目でミネラルウォーター持ったまま、パチンコ屋のトイレに入ったきり出てきやしない」  サオリの身が心配であったが、広田に近づかねば。 「なあ、郷田。仕事がんばれよ」 「今日は休みだっつうの」 「そういう意味じゃねーよ」  そして俺はそこでやっと本題に入る。その頃には夕日が藤棚を染めていた。 「広田くんに会いたいんだ。どうすればいい?」
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