第1章 【スタート】

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
暑い。 うだるような暑さ。 今日も僕は家で横になり、くだらない日々を過ごしていた。 特にやることもなく、やる気も何がやりたいのかもわからない。 そんな日々がだらだらと続き、気づけばもう20歳になっていた。 親は働きに出かけ、僕はそれを遠目から見送った。 「あー、それにしても今日は本当に暑い、俺を殺す気か」 額から汗が流れ、それをぬぐいつつエアコンのリモコンに手を伸ばす。 電源を入れると同時に涼しい風が僕を癒してくれた。 太陽が照り付け、町中に日光が襲い掛かるような猛暑の今日は、窓から見る限り 外出を控えている人が多そうだ。 蝉がけたたましく鳴き、夏の到来をひしひしと感じさせる。 思えば、俺が家から出なくなってしまったのも、こんな夏の日だった。 18歳の夏、僕は学校から帰宅すると同時に鞄を投げ捨て、携帯を手に取る。 [明日の2時半に、いつものとこ集合] 友人数名で立ち上げたグループラインに、ポンッと一文が追加された。 「やっとかあ...最近試験勉強ばっかでろくに遊べてなかったからなあ。あいつらと遊びにいくのも2か月ぶりくらいになるわあ」 そう一人で呟きながら、ラインに返信する。 [了解!俺より遅れたやつは鉄拳制裁なー、覚悟しとけ笑] 冗談を交えつつ、明日の久々の友人たちとの交流に心を躍らせる。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!