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頭が重い。
目隠しか何かされて、それが重いようだ。
ぎこちなくしか手が動かない。
体を覆うのは、布団の感覚だった。
ようやく目隠しを外した。
目を覆うところに箱がついている。
銀色の金属製で、軽い。アルミかな?
箱の奥には、僕のスマホが貼り付けてあった。
盗まれていたんだ。
「VRゴーグル? 」
寝ぼけ眼で見せられていたから、実際より怖く感じていたのか。
「そういうことか」
だんだん腹が立ってきたぞ!
「う、うーん」
近くからうめき声が聞こえる。
VRからではなく、人間の生の声だ。
僕は、土の床に引かれた布団に寝かされていた。
それと同じ布団が2つ並び、2人の子供が寝かせられていた。
「メイコちゃん。メイコちゃん。起きて」
黒髪の長い女の子から、ゴーグルをとる。
白河 明依子。
僕の同級生。
それなりに仲がいいけど、寝顔を見るのは初めてだ。
着せられているのは、ダブついた灰色のつなぎ。
僕も押し着せさせられた、転恒星人からのダサさも、寝顔を視れた感動は消せない。
名残を惜しみつつ、次の布団へ向かう。
「ジン。ジン。起きてよ。ここはどこかの得体のしれないところだぞ」
中宮 仁。
この男の子も僕の同級生だ。
そして、体は同級生で一番大きい。
大きめのつなぎも、こいつならピッタリだ。
将来は相撲取りになりたいらしい。
そのせいで、ゴーグルを外した後、体をゆするのも一苦労だ。
「……ネズミ! 」
その一言で、ジンは自分から飛び起きてくれた。
「もう逃げてったよ」
怯えた表情で見まわしていたジンは、僕の一言で安心してへたり込んだ。
「……また寝ちゃダメ! 」
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