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Time flies.(タイム・フライズ)──光陰は矢の如く。
過ぎゆく日々のスピードは輝きを増して、この目にはあまりにも眩し過ぎて、だからこそ人は目を細め、その瞼の裏に過去を見る。
気付いた頃には、もう遅かった。最も充実していた、幸せだったあの在りし日の風景は、眩む光の中であっという間に見えなくなってしまった。
あの輝きはきっと、人の脳が無意識の内にかけたフィルターなのだろう。大切な思い出を、少しでも長く残せるように。限られた記憶容量(キャパシティ)を、無駄遣いしてしまわないように。
人は、忘れる生き物だ。
道端に転がる小石の色を、向かいの席の他人の顔を、いちいち覚えようとはしないように、必要最低限の情報を残して、目で見た先から捨ててゆく。
無意識下で行われるその無慈悲な取捨選択(リサイズ)は、平等に記憶の端々を削り取り、削られた記憶は、夜空を翔る流れ星のように、輝きながら燃えて、消える。
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