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この店で本の紹介文の作成を担当するようになり、気付けばもう一年になる。
──あれ、君もしかしてうちの常連さんじゃない?
──ええ、ほぼ毎週通わせて戴いています。
──ほらやっぱり、見知った顔だなぁと思ったんだよね。
面接を担当したのは、あの適当な店長だった。本は好きかと聞かれ、読んだ本の紹介を毎週SNSに投稿していると答えたところ、彼はパチンと手を打ち「よし、採用!」とこれまた適当に決めてしまったのである。以来、店内の掲示板に黄色いビラが貼られるようになり、更新の滞っていた店舗の公式ホームページも息を吹き返した。見返りは、店内にある本を自由に読み漁る権利。もとより本が好きなことに加え、生活費には特に困っておらず、小遣い稼ぎ程度の気持ちで始めた私には、これほどうまい話はない。私は二つ返事でこの提案を受け入れた。仕事の内容も要領よく憶えてこなすようになり、それなりに楽しい職場である。
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