訳ありの三十路オメガ

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アルファとして生まれれば、約束された未来が待っていると誰もが言う。 誕生した我が子がアルファだった場合、両親の期待も大きければ、世間の注目度も高い。 元々備え持った全ての遺伝子が長けている彼等は、体力と共に知力も高く容姿も優れているからだ。 言うなれば「完璧人間」だ。将来エリートとなる人間がほとんどで、企業の重役や団体のトップは、ほとんど彼等アルファで占められていた。 そして、この世の大部分を占める人種「ベータ」として生まれれば、平々凡々人生を歩むのが大半だ。世間の九割方の人間が、このベータであると統計では上がっている。 勿論ベータの中にも優秀な人間もいるが、所詮アルファには敵わないとされてきた。 三つ目の人種、男性でも妊娠可能な「オメガ」は呪われた浅ましい人種と言われている。 全体的なステータスは先の二種に及ばない。彼等が社会で順応して生きて行く為には、並々ならぬ努力が必要だ。 しかも適齢期を迎えると、一定期間の周期で訪れる発情期、通称「ヒート」が訪れる。 それ以降は、一生「発情抑制剤」を処方し、生活しなければならない。 抑制剤を処方したとしても、そのヒートは完全に抑えられるものではない。緩和する程度だ。 ヒート期間は平均一週間続くとされている。
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