訳ありの三十路オメガ

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オメガがヒート期間に入ると、とにかく性交をしたいと全身が訴えるのだ。 その間は、他に全く何も手がつかなくなる為、社会からは役立たずのレッテルを貼られ、仕事を任せて貰えないのが常だ。 その結果、蔑まされ虐げられ、職業も国から指定されたものに制限されていた。 オメガ個人だけで済む問題なら、まだ構わないが…一番厄介なのが、ヒート中に発せられるオメガの発情フェロモンは他の二種を興奮し刺激させてしまう事だ。 アルファがまともに発情フェロモンを嗅ぐと、正気を保つ事は難しくオメガを孕ませたいと本能が爆発するのだとか。 オメガの発情フェロモンは、オメガと番う事の出来ないベータ男性すらも時には惑わせる。 しかし相手がベータでは意味が無い。 ヒートはアルファの精を受けると収まる事は誰もが知る有名な話で、その間の性交は凄まじい快楽を生むとも聞いている。 アルファの中には、その快感を求めオメガとの性交を楽しむ輩も多い。 それだけを味わう為に、オメガを性的処理として扱う事例も過去には何件もあった。 しかしオメガもオメガで、ヒート中はアルファの精を胎内に取り入れたいと、ただひたすら望む。それも狂ったように――。 そんな背景からか、一昔前までは、オメガに対する強姦事件が多く発生していた。 最近では、国も対策として厳重に処罰する法律を立てたが、相手がアルファだった場合、結局は金で解決させられる上、何処でもフェロモンも撒き散らすオメガが悪いとされてきた。
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