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「あ、準備室開いてないし」
竜くんに言われた通り、準備室に来たはいいものの鍵が閉まっているようだった。
「鍵、取りに行かなきゃ」
「ここにある」
あたしを後ろから囲むように鍵穴に鍵を入れる。
「ち、近いです」
「いいだろ」
後ろから感じる竜くんの吐息にドキドキが止まらない。
「ほら、入れよ」
ドアが開いたと同時に準備室の中に押し込められる。
「竜くん…?」
「なんでお前、俺のこと避けてんの?」
ガチャリと鍵の閉まる音と同時にふわりと後ろから抱きしめられる。
「避けてなんか…」
「俺がわからないとでも?だいたいLINEも無視しただろ」
「…寝てただけだよ」
竜くんはあたしのことなんか好きじゃないくせに。
なんで、あたしに構おうとするの?
流山さんが好きなくせに。
「ちっ」
そんな舌打ちとともに竜くんはスマホを見る。
「はい」
不機嫌そうに電話に出る。
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