古本屋

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本を開いた瞬間、どこかの屋敷の中にいた。 太い柱が真ん中にありキラキラ光っている。 甘酸っぱい香りに導かれるように緑のカーテンをくぐる。 「あなたはだれ?」 大きなクッションに埋もれるように少女が寝ていた。 「海音、海の音て書いてミオて読むの。」 銀色のウェーブのかかった髪に長いまつげに縁取られブルーの瞳、お話の中に出てくる御姫さまそのものだ。 「私はアーリア、あなたはどこの国からきたの?どうやって入ってきたの?」 「ニホンから来たんだよ。婆やのとこの机にあった本を開いたらここにいたの。」 少女は首をかしげる。 ここにいる海音じたいどうしてここにいるのかわからない。 「あなたも龍族?ここはお父様が守りの魔法をかけているから龍族いがい入れないもの。」 少女の口からでる龍だとか魔法だとか言う言葉に海音は疑問だらけだ。 「海音のパパ、サラリーマンだよ。」 「ニホンコクのサラリーマン族の方なのね。寝てばかりでつまらないわあなたの国の話をきかせてちょうだい。」
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