俺達の日

文化祭。

それは、学校行事の中でも唯一『文化部』が輝ける場所。

吹奏楽部、演劇部、美術部、手芸部、科学部、新聞部……。

運動部のようにグラウンドに出ることもなく、校内の専門棟などにある部屋で行われる部活動。

インターハイなどの試合も無いため、壮行会などで紹介されることもない。

普段の生活であまり目立つ事がないのだ。

吹奏楽部や演劇部はまだ華がある。

吹奏楽部は、式典の演奏や体育祭の行進曲など、割りと表に出る機会があるし、演劇部は講堂のステージで練習するため、自然と他の部員の目に触れる。

だが、俺が所属する美術部は、己の作品に向き合うのみ。さらに目立たない。

「根暗なヤツが入る部だよな」などと陰口を叩くやつもいる。

そして付いた名が『地味部』。

文化部の２強を除いた俺達の部は、そう呼ばれていた。

だが、文化祭だけは違う。

みんなが、俺達の出し物に注目する日。

『地味部』の鬱憤を晴らせる、なくてはならないイベントなのだ。