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人数が集まったところで、科学部の実験が始まる。
緊張しながらも丁寧に虹の光の説明をすると、紫キャベツを使った色の実験へと移っていく。
紫キャベツの絞汁を7つのビーカーに入れると、そこに何かの液体を少しずつ垂らしていく。
すると、青紫だった色が赤く変化した。
「わあっ!」と歓声が上がる。
部員たちの顔がゆるみ、少しだけ緊張感が解けたようだ。
手際よく、次のビーカーに先程とは違う液体を入れていく。すると、今度は黄色に変化した。
「おおっ!」
さっきとは違う驚きの声が上がり、みんなは不思議そうな顔で見つめていた。
観客の反応はかなり良さそうだ。
俺達は予行練習に立ち会っていたので、全ての行程を見させてもらっていた。だから、そこまで驚かなかったのだが……。
紫キャベツの何とかという色素が、水の性質――酸性とかアルカリ性とか――に反応して色が変わるらしい。
原理が分かっても、やっぱり不思議だ。
俺は美術部ということもあり、色彩とかにはちょっとうるさい方だと思うが、まさか堅物の印象がある科学部が色に興味があるとは意外だった。
まあ、酸性とかアルカリ性とか言ってるところは、理系男子&理系女子なのかもしれないが……。
実験が終わりに近付き、全てのビーカーに液体を入れ終わると、紫一色だったものが見事な7色に変化していた。
予行練習の時は6色しか出来なくて心配していたのだが、本番は無事成功したようだ。
「これで、科学部の色実験は終わります。ありがとうございました」
部長があいさつをするとパチパチと拍手が起きる。
科学部の出し物もなかなか好評だったようだ。
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