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目隠し
促され、最後に残ったトランクスに手を掛ける。下ろすかどうか迷い、思い切って断った。
「いくらセキュリティーチェックでも、全裸はやり過ぎじゃないですか?」
面接官の怒りを買うかもしれないと思ったが、正当な根拠があるなら聞いても問題ないはずだ。従えないなら帰れと叱られるならば、そこには後ろめたい理由があるに違いない。こちらだって勤め先を選ぶ権利は――状況的にかなり低い権利ではあるが、それなりにある。
同時に、全裸で検査されねばならぬほど自分は怪しい人物に見えるのだろうかと、眞一(しんいち)は心のなかで首をかしげた。
性格も外見も地味で、目立つようなところのない自分のどこが怪しいのか。そもそも怪しいというなら、雇用主側である先方こそ怪しい。
面接官が入室してきた気配こそあったが、自己紹介も挨拶もなにもなく、いきなり裸になるよう言われるなんて、本当にこれは就職面接なんだろうか。それとも過激な形で忠誠心を試しているだけなのか。相手だって男の身体を見たって嬉しくもなんとも無いだろうし、むしろ見苦しいものを見せられて辟易としているのかもしれない。
息を詰めて相手の出方を窺う。
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