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「今日もビールがうまいぜぇ!」
ピュータージョッキのビールを喉に流し込んだ鎧武者は、勢いにまかせてモモ肉のグリルを手に取り、豪快にかぶりつき、そのまま皮をむしり取る。山椒とはまた違った、故郷にはない黒胡椒の刺激と香り、そして鶏皮独特の食感を噛み締めた鎧武者は、
「……鶏皮うめぇ!」
と、むしり取った皮をもぐもぐと咀嚼し、改めて肉を頬張る。
「……貴殿の国では、肉食は御法度ではないのか?」
隣の席に腰を下ろしていた甲冑騎士が呟いた苦言に、武者は、
「そんなもの、もう少し[後の時代]になってから騒ぐものだ。それと、あんたの無国籍振りも大概だぜ!」
と、陶器のぐい飲み片手に箸で刺身をつつく騎士に笑いかける。
新鮮な海の幸を美しく並べ、それを山葵醤油に絡めて食べるという行為は、熱を加えた調理を主に食してきた騎士にとって見れば、珍しいのだろうか。
[時代]という言葉が気になったのか、騎士は武者に改めて訪ねた。
「そう言えば、貴殿は[何処から]来たのだ?]
その問いに鎧武者は手にしていた肉を皿に置き、甲冑騎士に身体を向けて答える。
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