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剣の構造は、他の道具類とは決定的な違いがある。
それは、全体の8割から9割近くが[生まれた当時から金属で構成されている]というところである。
確かに、一部の斧や鎚矛など、全金属製の武器も存在する。しかしそれらは、一部例外を除けば、装飾的な意味合いを持つもので、大抵、実用品は木材などの柄にヘッドを取り付けるものが多い。
刀剣類はそれらと違い、装飾、実用問わず、刀身は元より、鍔や、柄に固定するための茎、場合によっては鞘に至るまで、金属製になることもある。
しかし、それでいながら、実は刀剣類が戦争の主武器になったことは洋の東西問わず少ないのが現実である。
西洋の場合、まだ、騎士が剣を振るうことが多いものの、破壊力だけなら馬上槍の方が上であるし、何より、ロングボウやクロスボウなどの飛び道具が戦場を席巻している。
日本でも、平安初期から戦に於ける武士の主戦法は騎乗の弓による遠距離攻撃であり、室町以降の徒戦主流となっても、やはり弓や投石、そして鉄砲が幅を利かせ、白兵に於いても、最終的には槍が中心となっていく。
剣というものは、決して効率的な武器とは云えないのかも知れない。
何故ならば、先も述べたとおり、材料の殆どが貴重な金属であることに加え、加工技術も高度な技を要求し、挙句、それを振るうものもまた、とてつもなく高い技量を求められるのだ。
日本刀は、その中でも最たるもので、鍛え上げることは元より、振るう側も、その凄まじい切れ味を発揮するためには、太刀筋をきちんと乗せなければならず、失敗すれば、切れないどころか、最悪の場合、刀身を折ってしまうこともあり得る。
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