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それでも、戦士(騎士、武士)は、刀剣類に強い思い入れを持つことが多い。
騎士は、叙勲の際に主君からその肩を剣の腹で叩かれるし、現実(?)の魔術師なども、魔術道具として剣を用いることが多い。余談であるが、一昔前の物語やゲームで魔術師が剣を持たないのは、あくまで[ゲームバランス]が理由であると、著者は考える。
武士に至っては、殿中に剣が持ち込めない場合でも腰に竹光を佩き、また、室町以降の茶道文化の時代でも、茶室に刀を持ち込めない代わりに、〈茶室刀〉なる短い木剣を腰に差していたという。
剣は、実用的な武器ではあるものの、同時に、戦士階級を象徴するものであると云える。
特に、江戸時代、太平の世の武士は顕著である。
士分を持つものは、浪人(浪士)であっても義務として大小を腰に差さねばならず、それを失えば、当然ながら恥となり、最悪、切腹もあり得る。
また、本篇中で語られているように、剣は時として神々に献じられる宝物となり、更には霊剣や妖刀、聖剣伝説など、様々な物語を世に残している。
日本でも、〈三種の神器〉のひとつである〈天叢雲剣〉をはじめとして、全国の神社には様々な刀剣が奉納されていることがある。
その中には、刀身の左右に三本ずつの枝刃をもつ、石上神宮の〈七支刀〉や、鹿島神宮に伝来する全長2.24mの〈布都御魂剣(または|?霊剣)〉、日光二荒山神社奉納に奉納された、3.2mを超える大太刀である〈祢々切丸〉といった、明らかに実戦を想定していないものも存在する。
また、刀を用いて[魔を払う]逸話も多く残されている。
西洋では、アーサー王伝説に登場する〈エクスカリバー〉をはじめとした、数々の聖剣伝説が有名であり、現在でもファンタジージャンルを中心に、様々な創作に影響を与えている。
残念ながら、[聖剣として]は現物そのものの伝来はあまり聞かないものの、伝来している騎士や貴族、王族の刀剣類は、鞘、柄などに宝石や金銀などで拵えられた、きらびやかな装飾が施されている。
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