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どうにか声の方に目をやり、払いも出来ないまま顔に掛かる煩わしい髪の隙間から覗くと、大分離れたところに、鼻を着物の袖で抑えながら話す老人、そして興味津々といった愛らしい顔でこちらを見るそっくりの顔をした二人の童子が立っていた。
「まったく、お前のように薹(とう)が立って稚児にもならん者まで寄越すとは。最近の人間は、皆元服を超えてもお前程度にしか育たんのか? わしが昔見た時はもそっと大きかった気がするが」
背丈の事を言われているのは分かったが、答える必要はないと思い無視をした。
体が小さいのは今に始まった事ではない。
それこそ元服をとっくに超える歳になって変わる方がおかしい。
馬鹿にされるのも慣れたことだった。
答えが返らないのに焦れたのか、年寄りは鼻を鳴らしながら踵を返し、臭い臭いと衣擦れの音をさせ去って行く。
「ねぇ、兄様にはお名前あるの? 僕、織部」
「僕は瑠璃。兄様もお名前がないなら、水鬼(すいき)様にもらうといいよ」
目印になった年寄りのひょろ長い体がなくなって、下段になっているそこがなかなか見つけられずにいたが、やっと目が当たった。
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