庭の棺桶

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庭の棺桶

 以前、あんまりにも泣いている時は、不用意に近寄らないでやれと教えてくれたのはやはり水鬼だった。    形は愛らしき双子が、幾つもの物事を経て深い思慮を携えていることを知っているからこそ納得で頷いたのだが、今日はいくらなんでも長く泣き過ぎだろうとさすがに気になる。    いつもならそろそろ覗きに来るはずの水鬼も、どれだけ首をのばし待ってもやって来ない。    仕方なくというわけでもないが、しゃがみ込んでおいおい泣き続けているふたりへ、いつも水鬼がするのを真似てそっと聞いた。 「なにか、あったのか」    偽物では駄目かと即座にひるんでしまう勢いにふたりは一層激しくむせび泣き、結局はたじろぐしかなかった。  さらにひとしきり泣いて、やっとしゃくりあげながらの瑠璃が顔を上げる。 「いらっしゃらないのです!」    誰がと聞き返すまでもなく呂色も急いで同調した。 「やっぱりか! いつからだ」  
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