庭の棺桶

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 庭へ戻り、水鬼から改めて最初に叱られたのは月白だった。 「思わぬ吹雪にいささか迷い遅くなった水鬼めが確かに悪うございます。しかし、だからと言ってあんな中へ連れて出てくるなど言語道断! ご自身のお立場、守るべきもの、それらをよくお考えになられてからですな、聞いていらっしゃいますか!」    次に叱られるのは自分だろうということさえなければ助け舟も出せるのだが、すまぬしか言えぬ月白の後ろで織部達と縮こまるしかない。    やっと呂色の方を向いた水鬼は、次の小言に備えてか大きく深呼吸をした。    織部は聞きたくて仕方がなかったのだろう。  おずおずとそんな水鬼に訊ねる。 「水鬼様も、あの雪の中でお生まれになられたのですか」    ぱちりと瞬いて、水鬼は双子を向いた。 「…お前達もか?」    頷く織部と瑠璃を大事そうに両腕へ抱き上げ、不格好に巻かれた着物へ眉を顰める。 「冷たい水も厳しい白も、僕達また触れることができてすこしうれしいのです。もちろん水鬼様がお戻り下さったことの方がずっとうれしいですが」 「そうじゃったか。どこも冷えに憑りつかれてはおらんか。ふたりともじいの顔に手を当ててみぃ」    ぬくさを頬で確かめて安心したようにふたりを下ろし、今度こそ呂色へ向き直る。
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